小中学生の6.5%に発達障害の可能性
発達障害とは、自閉症や高機能自閉症、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥・多動性障害)等の、脳機能の発達に関係する障害を指し、2012年の文部科学省の調査によれば、全国で発達障害の可能性のある小中学生は6.5%に上ると言います。
具体的には、不注意(集中できない)、多動(じっとしていられない)、多弁(「もう終わりにしてください」と言われるまで話を終えられない)、衝動的な行動(考えるより先に動く)、興味・関心の偏り、不器用、言葉の発達の遅れ、コミュニケーション障害(空気が読めない)、パターン化した行動(こだわり)といった症状が見られるものです。外見からはとてもわかりにくい障害であるため、「変わった人」と見られたり、「人の気持ちがわからない人」だと非難されたりすることも。就職活動にも困難を伴い、社会人になってからも偏見にさらされるケースが少なくありません。
- 自閉症の定義 <Autistic Disorder>
- (平成15年3月の「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」参考資料より作成)
- 自閉症とは、3歳位までに現れ、①他人との社会的関係の形成の困難さ、②言葉の発達の遅れ、③興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とする行動の障害であり、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される。
- 高機能自閉症の定義 <High-Functioning Autism>
- (平成15年3月の「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」参考資料より抜粋)
- 高機能自閉症とは、3歳位までに現れ、①他人との社会的関係の形成の困難さ、②言葉の発達の遅れ、③興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とする行動の障害である自閉症のうち、知的発達の遅れを伴わないものをいう。
- また、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される。
- 注意欠陥/多動性障害(ADHD)の定義 <Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder>
- (平成15年3月の「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」参考資料より抜粋)
- ADHDとは、年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、及び/又は衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすものである。
- また、7歳以前に現れ、その状態が継続し、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される。
「オールまいづる」の発達障害児支援
京都府舞鶴市では以下のような総合的発達障害児支援を行っていますが、その立ち上げに際し、支援センターを立ち上げ、担当職員にお任せしてしまう「センター形式」を敢えてとらず、保健師等の現場職員と一つ一つ作り上げていったところに大きな特徴があります。担当者が集まり、何度も何度も会議を重ね作り上げた結果、全職員が発達障害児支援への高い意識を共有することができたのは、特筆に値するものです。
- ①早期発見のシステム
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- M-CHAT(Modified Checklist for Autism in Toddlers)…1歳6か月児
「お子さんをブランコのように揺らしたり、膝の上でゆすると喜ぶか」「あなたが名前を呼ぶと反応しますか」等の23項目(舞鶴市では24項目)の質問に、保護者がはい・いいえで答える。 - PARS(Pervasive Developmental Autism Society Japan Rating Scale)…3歳児
「視線が合わない」「友達とごっこ遊びをしない」等の57項目(舞鶴市では12項目)の質問に、保護者がはい・いいえで答える。
- M-CHAT(Modified Checklist for Autism in Toddlers)…1歳6か月児
- ②早期発見、早期支援のシステム
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- にじいろ個別支援システム(保育所)
保育所からの依頼(各保育所の発達支援コーディネーターによる、オリジナルチェック)に基づき、市内専門機関等で構成する個別支援検討会議が保育所を巡回し、対象児童を行動観察。その結果をもって、保育所等での支援内容の助言や発達支援保育士の配置を検討。保護者とともに個別支援計画を策定し、個別の支援へ。 - 年中児発達サポートシステム(幼稚園)
- にじいろ個別支援システム(保育所)
- ③その他
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- 集団SST(Social Skill Training)試行事業(幼稚園1園)
健常や発達障がい等のある子ども全員を対象に、普段実施している保育の中に社会的スキルを向上させるような要素を取り入れるSST手法の試行。例)フルーツバスケットにおける決まり事 - フォロー教室等
「のびのび・すくすく教室」…親子が遊びを通して、関わり方や遊び方を学ぶ。2~3歳
「子どものほめ方教室」…子どもとの関わり方を不安や悩みを抱える保護者を対象。
「すこやか育児相談」…保健師・歯科衛生士・管理栄養士による子育てに関する個別相談。 - 発達支援ファイル
乳幼児期、学齢期、成人期にわたる継続した成長や医療、保健、福祉等の支援内容を記録することで、成長過程の状況に基づいた継続的支援が可能に。 - ピアカウンセリング(舞鶴こども発達支援施設 さくらんぼ園)
- 集団SST(Social Skill Training)試行事業(幼稚園1園)